【ヘルシェイク矢野】のギター製作秘話1
#ヘルシェイク矢野 #ポプテピピック #ボブネミミッミ #AC部 #除夜のギター
AC部とのコラボレーションが始まり、様々なアイデアを話し合いました。2022年2月からメールや電話で連絡を取り合いながら、4月にはAC部スタジオでのミーティングがセットされました。それに先立ち、まずは、当社の「ちょっと面白い楽器店あぽろん」としての力量や今後のコラボレーターとしての可能性をAC部さんに納得、信頼していただけるように、又、よりコラボへの期待感を上げていけるように、紙芝居の中に出てくるヘルシェイク矢野の”ギター”を実機で製作して持参しました。
最初に実機を見せたときのAC部の皆さんの驚きと笑顔は忘れられません。それはビックリしますよね、いきなりアニメで描いたギター(それも固定的イメージはない!?)が本物のエレキギターとなって目の前に現れたのですから!
ポプテピピック内AC部会のヘルシェイク矢野が持っているエレキギターは、放映をご覧になった方ならお判りの通り毎回ちょっと違う形であり、AC部アニメらしくちょっとヒネリが効いていてギターとしては違和感のあるデザインです。ボディーは丸目のものだったり、極端に長くとがっている時もあります。ピックアップが2つの時も3つの時もあります。
そんな中から、たぶんこれが主要なスタイルであろうと思われるもの、ラウンド系、シャープ系を二種類選び、それを基に大まかにデザイン画を描き、パーツの指定をした基本設計図を作りました。
設計に関しての難題は、ファンの皆様がヘルシェイク矢野のギターだと認識できるデザインであること。それを前提としながら、ちゃんと弾ける楽器としてのエレキギターの物理的な構造面をクリアしていなければならないことです。楽器としてのギターは、ネックのスケールやナット幅、ブリッジまでの位置とフレット数と割り付けなど、理論に従って構成しなければいけない構造と人間工学的条件が多数あります。さらにはネックとボディサイズとのバランスをデザイン面と機能面の両面でクリアしなければなりません。そこから更にターゲットを考慮してそれぞれの条件を決めていきます。アニメ好きの方、女性でも弾けることを想定し、ネック長はミディアムスケールを採用しました。ミディアムスケールにすることで、アニメに近いスタイル、ネックが短めでボディーが大きめというデザイン的なバランスにも近付けられます。全体の重量も軽めにすべく、SGモデル程度のボディ厚としました。弦のテンションを考慮してヘッド角も付けてあります。
その他のパーツも可能な限りヘルシェイク矢野的でありながら、実際に使えるエレキギタ―であることを考慮しながら選定しました。色に関してはネット上に数多あるファンアートも参考にしながら、ラウンド系はグレーバースト+ローズウッド指板バインディング、もう一つのシャープ系(これはHellshakeのHが基になった形だそうです- AC部安達さん談)はメタリックレッド+メイプル指板としました。
さて、設計はしたものの、こんな変なギター(!)をオリジナルで製作してくれる、コストも納期も含めて実現できるギター工房など、普通はありません!その点は楽器業界50年の当社ですから承知の上でした。しかし、今回のような特別なプロジェクトは常識を覆すところから始まります。なんとか探しだし、交渉し、実現するまでに七転八倒一苦労でした。
*写真はプロトタイプです
この二本は本番撮影時に使用されることになり、既にご存じの通り「エキサイティ~ング!サウンドショ~ップ!あぽろ~ん!」CMのシーンで両脇に飾られているものです。
また、AC部さんのTweetで観た方もいらっしゃると思いますが、ThundercatがAC部スタジオに訪れた時のシーンなどにも度々映っています。
サンダーキャットはこれを弾いた時「このクレイジーなギターを作ったのはどこのどいつだ!?」とニンマリ言い、AC部さんが「新潟のやばい楽器屋Apollonmusicだよ!」と教えたそうです。
この二本は、撮影後もAC部スタジオに飾られるものとなりました。
更に今後更にリファインしたものが商品化されるという噂も・・・
さて、ヘルシェイク矢野ギターの開発秘話はここで終わりません!
AC部は11月の個展への準備が進んでいました。ミーティング中に当方が持参した実機ギターを観たAC部安達さんから「もっと、完全に紙芝居通りのギターが作れませんか?」というとんでもない難題が!!
その続きは、ヘルシェイク矢野ギター開発秘話2展示編にて